むか〜し、むかしのことじゃった。

東国ジパングのとある国に新谷 紗弐夷(にや しゃにい)という侍大将がおったそうな。

この紗弐夷、近々隣国の姫との婚姻を控えておったが深刻な悩みを抱えておった。

 

「螺旋!螺旋はまだ参らんのか!」

紗弐夷は苛立ちを紛らわすために刀をブン( ̄  ̄= ̄  ̄)ブンと振り回しながら家臣の名前を叫んでおった。

「殿!金剛の螺旋ここに。」

「おおぉぉう、螺旋待ちわびたぞ、してどうじゃった。」

螺旋はサササッと紗弐夷から遠ざかると

「残念ながらそのような薬は存在しておりませんでした。」

どどど〜〜〜ん、紗弐夷の放った剣圧が部屋の一部を崩壊させる。

「まことに残念でございます(やれやれ、修繕する身にもなってほしいものだ)」

螺旋は頭を下げながらも次はどうしたものかと考えを巡らせていた。

 

「しかし殿、そのように怒ってばかりおられますとハゲが余計に拡がってしまいますぞ!」

どどっどど〜〜〜〜ん

「うっさいわい、もうよい下がれおれ・・・ハァハァ」

 

そう、この紗弐夷の悩みとはおでこの上にできたでっかい円状のハゲであったそうじゃ。

そのハゲを治す薬の噂を嗅ぎつけると家臣の螺旋に極秘に調査に行かせておった。

このハゲのことはごく限られた家臣しか知っておらず、怒りの矛先はいつも螺旋に向けられていたそうな。

 

 

 

     ・・数日後

金剛の螺旋は紗弐夷に呼び出され城にあがっていた。

(ヤレヤレまたなにか噂を聞かれたのだろうな・・・)

「殿、金剛の螺旋、お呼びにより参りました。」

「おぉ〜螺旋よ待っておったぞ、挨拶はよい面をあげい。」

はっはっと短く返事を返して面を上げた螺旋の目に飛び込んできたものは・・・

「ぶっ()

頭の表面の髪を見事に剃り落とした紗弐夷の姿であった。

「と、殿、その頭はどうなされました!(とうとう気が狂ったか・・・)」

 

「にやぁ〜〜〜り、これが我が国の侍の新しい髪形じゃ! ふぉふぉふぉふぉふぉ」

なにやら上機嫌の紗弐夷は「生えぬなら剃ってしまおう にょほほほほ」とわけのわからぬことを言っていたが、螺旋はこれでハゲの件は解決だと心を撫で下ろしていた。

が!しかし紗弐夷の次の言葉は螺旋を凍り漬けにしてしまうほどのものだった。

「螺旋よ、我が国の兵にはすべてこの髪型にするように伝えよ、己は見本としてすぐさまこの髪型にし、おのおのに実行させよ。」

「そ、そんなぁぁ〜〜〜〜」

 

かくして自分のハゲを隠すため兵士全員に髪の毛を剃らせたのであった。

殿のその我侭とも言える命令に号(┳◇┳)泣しながら髪を剃った兵士も多くいたという・・・

しかしながらその効果かどうかは知らないが紗弐夷はその後、東国を次々と戦で勝利し制圧した領土の侍にはその髪型を強要したという。

東国全土を支配した紗弐夷の髪型は侍の標準の髪型として定着しのちの侍たちはなんの疑いもなくあの髪型にしたという・・・

東国に伝わる昔、むかぁ〜しの話じゃったとさ、おしまい。