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メタボリックシンドローム　（�ｂW）　　２００６．１．１発行

メタボリックシンドロームという病態を御存知でしょうか。動脈硬化の原因として最近注目されています。今回はメタボリックシンドロームの診断や対策について解説します。

１．“メタボリックシンドローム”とは

メタボリックシンドロームとは内臓脂肪の蓄積（内臓脂肪型肥満）が原因となり、中性脂肪や血圧、血糖の値に異常が起こり、動脈硬化の危険性が高まる病態です。注意が必要なことは、それぞれの異常が軽くても異常を重複して持つと、心筋梗塞・脳梗塞などを発病する危険性が30倍も高くなることです。現在日本ではメタボリックシンドロームの人が1000万人以上いると推定されています。遺伝や加齢などの要因に加え、過食や運動不足といった生活習慣が関与していると考えられています。

２．りんご型肥満は危険！

肥満は脂肪の蓄積部位により皮下脂肪型と内臓脂肪型に分けることができます（下図）。内臓のまわりに脂肪がたまるタイプが内臓脂肪型肥満です（下図右側）。りんご型の体型を呈することが多いです。ウエストが男性では85cm以上、女性では90cm以上であれば、内臓脂肪型肥満と考えられます。脂肪細胞よりアディポサイトカインという物質が分泌されますが、内臓脂肪では悪玉のアディポサイトカイン（動脈硬化を進める）が多く分泌されています。

おへその部位のCT検査

黄色が皮下脂肪、ほんのりピンク色が内臓脂肪です。　　　　　科研製薬HPより

３．メタボリックシンドロームの診断

メタボリックシンドロームの診断基準を下に示しました。ウエスト周囲径で内臓脂肪型肥満が疑われる方は、一度検査をお勧めします。

　　　　　　　　　　　メタボリックシンドロームの診断基準

　　　

　　　 　　ウエスト周囲径

内臓脂肪蓄積 　　男性≧　８５ｃｍ

女性≧　９０ｃｍ

　＋

　　　　　　　　下記の3項目中2項目以上

　　　　　 　　　　　収縮期（最大）血圧　　　≧　１３０ｍｍＨｇ　

　　　　　　　　　　　　　　　　　かつ／または

　　　　　　　　　拡張期（最小）血圧　　　≧　８５ｍｍＨｇ

　　　　　　　　　空腹時の血糖値　　　≧　１１０ｍｇ／ｄｌ

　　　　　　　　　中性脂肪　≧　１５０ｍｇ／ｄｌ

　　　　　　　　　　　　　　　　　かつ／または

　　　　　　　　　ＨＤＬコレステロール　≦　４０ｍｇ／ｄｌ

４．当クリニックで行なっている治療

運動療法と食事療法による生活習慣の改善が最も重要となります。それでも個々の異常が進展し、高血圧、糖尿病、高脂血症といった病気になった時は、薬物治療を行います。その場合、メタボリックシンドロームに深く関与しているといわれるインスリン抵抗性を改善させる作用を持っている治療薬を優先的に用います。

５．メタボリックシンドロームを防ぐ十か条

・ 適正体重を維持する。

・ 野菜や乳製品や豆腐などをしっかり食べ、バランスの取れた食事をする。

・ 規則正しい食事をし、朝食を抜いたり、寝る直前に夜食を食べたりしない。

・ 脂肪の取りすぎに気をつける。

・ 塩辛い味付けは避ける。

・ ジュースやお菓子など、糖分の多い食品を食べ過ぎない。

・ ウォーキングやジョギング、水泳など毎日適度な運動をする。

・ 睡眠、休養は十分とる。

・ タバコは百害あって一利なし。思い切って禁煙する。

・ お酒はほどほどに。週に２回は休肝日をもうける。