大﨑クリニック 院長 大﨑緑男 魚津市寿町４－５ ℡ （０７６５）２３－１００１
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ぜんそく （№６） ２００４．５．１発行
成人の３％、小児の６％がぜんそく（気管支喘息）にかかっていると考えられています。今回はぜんそくの病態・治療についてお話します。
１．“ぜんそく”とは
ぜんそくは、気管支などの空気の通り道（気道）が狭くなることにより、ゼイゼイ・ヒューヒューといった音を伴う呼吸をしたり、咳がでて、息苦しくなる病気です。大きく分けると１）ダニ、家塵などのアレルゲン（喘息原因抗原）に対する抗体を持っているアトピー型喘息と、２）アレルゲンに対する抗体を持っていない非アトピー型喘息があります。小児喘息のほとんどはアトピー型喘息で、非アトピー型喘息は成人で多いです。
２．“ぜんそく”はこうして起きる
気道が狭くなる原因としては、気道内におけるアレルギー性の炎症が考えられます。下の図に示すように、ダニ・家塵といったアレルゲンなどの刺激物質に対する過剰な防御反応の結果、好酸球（アレルギーの白血球）等の炎症を起こす細胞が気道に集まり、粘膜のむくみ（浮腫）、粘液の分泌（痰）、気道上皮の損傷、気管支の収縮が起こり、気道が狭くなります。このような炎症により気道が敏感になっている時に（日焼けして皮膚がヒリヒリしているのと同じ状態）、さらに大量の刺激物質の暴露やウイルス感染などが重なると大きな喘息発作を起こします。また、この炎症は慢性的に起こっており、気道の炎症をおさえることが治療の基本となります。
“ぜんそく”の人の気道断面図 （図：グラクソ・スミスクラインＨＰより）
３．特殊な“ぜんそく”
アスピリン喘息：アスピリンなどの解熱鎮痛薬（解熱薬、かぜ薬など）を内服することにより発作が誘発されることがあります。大人のぜんそくの１０％がそうです。また、これらの人は食品や医薬品の添加物でも発作を起こします。薬を飲む時は医師の指導が必要です。
運動誘発喘息：激しい運動により発作が誘発されることがあります。ほとんどが小児です。運動前にウォーミングアップを行なうなどの予防が必要です。
ペット喘息：ネコ、イヌ、ハムスターなどペットが主たるアレルゲンの喘息。最近増加しています。
４．当クリニックで行なっている検査
肺機能検査：気道の狭くなっている度合いをみる検査です。
可逆性検査：気道をひろげる薬剤を吸入し、肺機能や症状が改善するかをみる検査です。改善がみられた場合、ぜんそくと診断できます。ぜんそくか否かを明らかにする検査です。
血清抗体検査（RAST法）：血液を採って調べる検査です。ダニや家塵等の抗原に反応する抗体が存在するかを調べます。ぜんそくの原因抗原（アレルゲン）を明らかにする検査です。
５．当クリニックにおける治療
成人喘息：残念ながら成人喘息のほとんどは完治しません。従って、何らかの治療が必要となります。治療内容は症状に合わせて決定しますが、一年を通じて何らかの症状を認める方（通年型）は継続的な治療が必要となります。治療は気道における炎症をおさえることが中心となり、主として吸入ステロイド剤（気道に直接作用するので副作用が少ない薬です）を用います。適宜、気管支拡張剤（気道をひろげる薬）や抗アレルギー剤を併用します。自宅で行なっていただいたピークフローメーター（簡易式肺機能測定器）の測定値や喘息日誌（喘息症状の記載）をもとに、病状の把握や治療薬の調節を行ないます。また、発作時の自己管理の指導も行ないます。
小児喘息：小児喘息の7割は成人までに治癒します。しかし、アレルゲン（ダニ、家塵など）の除去などの環境整備や治療がきちんと行なわれないと、完治しにくくなります。気管支拡張剤と抗アレルギー剤による治療が主体となりますが、コントロール不良の場合吸入ステロイド剤を用います。
６．日常生活で気をつけること
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血清抗体検査などでアレルゲンが明らかになった場合は、その原因をできるだけ避ける。
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ぜんそく治療薬以外の薬を使用するときは医師の指示に従う（アスピリン喘息参照）。
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日頃からかぜをひかないようにうがい･手洗いをする（かぜは一番の増悪因子）。
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過剰なストレスがかからないようにし、十分な休養をとり、規則正しい生活をする。
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腹八分目（食べすぎは発作の引き金になります）。
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喘息の方はもちろんのこと、周囲の人も喫煙はしない（喫煙で発作が起こることもあります）。
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台風など気象により喘息が悪化する人は、あらかじめ予防薬を服用する。
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吸入ステロイド剤を服用した後は必ずうがいをする。
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発作が起きたら我慢しない（β2刺激薬吸入で改善しない時は医療機関を受診する）。
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自己判断で治療を中断しない（薬の減量･中止は慎重に行なわないと、容易に発作が起こります）。