大﨑クリニック
魚津市寿町４－５
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睡眠時無呼吸症候群 （№５） ２００３．６．１６発行
JR新幹線の居眠り運転は記憶に新しいところです。今回はその原因と考えられている睡眠時無呼吸症候群について話します。
院長 大﨑緑男
１．“睡眠時無呼吸症候群”とは
一晩（７時間）の睡眠中に１０秒以上の無呼吸（呼吸停止）を３０回以上認めた場合、睡眠時無呼吸症候群と診断します。日本人の１００人に２人は睡眠時無呼吸症候群と考えられています。主な症状としては睡眠中の呼吸停止、いびき、体動の多い睡眠、日中の強い眠気、起床時の頭痛などがあります。無呼吸が頻回に起こると、酸素不足になり、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞といった合併症を併発する危険性が高まります。睡眠時無呼吸による心血管系の異常による死亡は毎年３８００件にも上っています。また日中の眠気による交通事故の発生率も一般ドライバーの７倍あるといわれています。
２．閉塞型睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は上気道の閉塞により呼吸が停止する閉塞型と、脳幹の異常により呼吸中枢機能が低下する中枢型に分けることができますが、ほとんどが閉塞型です。
図に閉塞型の上気道の断面図を示しました。肥満などにより大きな扁桃や舌根が沈下し、上気道が閉塞すると考えられています。閉塞型ではいびきを伴います。いびきは無呼吸中には起こりませんが、呼吸が再開する時に大きないびきが見られます。その後、数回の呼吸とともにいびきが起きた後、再び無呼吸状態になります。
扁桃肥大による睡眠時無呼吸は小児でも認めることがあります。
３．当クリニックで行なっている検査
診断に有用な検査としては、入院を必要とする終夜睡眠ポリグラフ検査と、自宅で行なえる簡易式睡眠検査があります。当クリニックでは簡易式睡眠検査を行なっています。
簡易式睡眠検査：睡眠中の呼吸状態と動脈血酸素飽和度を連続記録します。左手人差し指と鼻にセンサーを着けるだけで測定できます。患者さんの自宅で簡単に測定できます。一晩で何度無呼吸・低呼吸が起こっているかを測定し、重症度を判定することが可能です。
４．当クリニックにおける治療
簡易式睡眠検査の結果より、１）減量などの生活指導を行い経過観察とする、２）さらに精密な終夜睡眠ポリグラフ検査を行なう（専門病院にて）、３）経鼻的持続気道陽圧療法（CPAP）を行なう、４）外科的手術の検討をする、のいずれかの方針を決定します。
経鼻的持続気道陽圧療法（ＣＰＡＰ）：中等症から重症の患者さんに対し行います。睡眠中に専用の鼻マスクを利用して空気を送り込み、圧力をかけ気道が閉じないようにし、無呼吸を取り除く療法です。この治療により無呼吸による酸素不足は解消され睡眠の質を向上させることができます。また、高血圧・心筋梗塞などの合併症の予防も可能となります。入院せずに治療を開始することができます。ただし、対症療法であり、睡眠時無呼吸症候群の原因が改善されない限り治療を続ける必要があります。
５．あなたの眠りは大丈夫？
家族の方に呼吸停止を指摘されたことのある人や慢性的に大きないびきのある人は、睡眠時無呼吸症候群が強く疑われますので、検査をお勧めします。その他に、以下の眠気テストで１１点以上の人も睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、検査が必要と考えられます。
Ｅｐｗｏｒｔｈの眠気テスト（ＥＳＳ）
０点：決して眠くならない
１点：まれに眠くなる
２点：時々眠くなる
３点：眠くなることが多い