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新幹線開業後の光と影(その1)


 2014年度(平成26年)に北陸新幹線が金沢まで開業します。これにより富山〜東京が約2時間で結ばれ、首都圏がより身近な存在になります。

「自分には関係ない」

そうは言ってられません。新幹線は我々の生活に結びつく各方面に多大な影響を及ぼします。よく耳にする街の発展だけを意味するものではありません。衰退もありえるのです。これはこれまでに新幹線ができた沿線都市で実際に起こってきたことです。

「必ず発展に結びつくような対策を講じなければならない。でなければ衰退……」

 この新幹線開業にともなう魚津市への影響は多岐に渡るのですが、今回は開業後の魚津市の鉄道に関する交通問題をテーマにします。

 みなさんは新幹線が開業するとJRは北陸線の経営から手を引くということをご存知ですか?「並行在来線問題」といわれ、各地で大きな問題となっています。現時点で、JR西日本は富山県内の北陸線を手放す方針です。北陸線はJRが手放しても、富山県民にとって通勤・通学などで必要な足です。なくすわけにはいかないので、第三セクターにより存続させることになります。これは自治体や企業でお金を出し合って、鉄道会社を作るということです。しかし民間企業が手放してしまうような採算性に問題のある路線ですので、経営は厳しいものになると予想されています。

「車で出かけるから関係ない」
「富山は車社会だ。鉄道の時代は終わった」

 そうも言ってられません。通勤・通学で鉄道を利用する人は大勢います。高齢化も進んでいます。公共交通機関が不便で、高齢者が出かけることもできない、高齢ドライバーによる交通事故の多発といった問題は、現実に社会問題化しています。このままでは問題は拡大化する一方です。

 また環境問題が世界規模で叫ばれる中、地方であってもある程度の規模以上の都市では車に頼りきらなくてもよい交通体系が理想です。もちろん「車に乗るな!」ではありません。公共交通機関という選択肢をとれる社会をいかに作り上げるかが課題です。

 しかし今の魚津市の公共交通網は便利とは言えません。「必要ないから使わない」ではなく「不便だから使わない」なのです。北陸線が第三セクター化されても不便なままでは、「客離れ→運賃値上げ・本数削減→さらに客離れ」になってしまいます。そして赤字を埋めるために使われるのは私達の税金です。そのためには公共交通機関が実用的で「使える」ものになれば状況は少しづつ好転するでしょう。

 このような今のままでは問題山積の状況下ですが、ひとつ幸運なことは、富山県は他の地方都市より鉄道網が生き残っていると言われています。魚津市もJRと地鉄という2つ鉄道路線を有しています。これら既存の物をいかに低コストで活用するのか?これが鍵になります。



 現時点でも市政レベルや市民レベルで様々な意見が出されています。

  例1
 北陸線と地鉄線を直通運転することで、富山〜魚津〜宇奈月を上市を経由せずに移動できるようにする。
(問題点) 電車の技術的な問題から、北陸線の電車は地鉄線に入れるが、その逆が不可能。可能にするためには、車両の買い替え(電車の価格は1両1億以上!)や電化工事など膨大な費用が必要になる。
  例2
 富山からライトレールを北陸線に乗り入れ、さらに滑川か魚津で地鉄線に乗り入れ、宇奈月まで直通させる。
(問題点) 現在のライトレールの車両が技術的に北陸線や地鉄線に乗り入れできない。例え可能になっても、輸送力(運べる人数)が現在の北陸線のラッシュ時に耐えられず、また速度も遅い。そのため富山〜魚津のような都市間輸送ではサービス低下の可能性がある。
  例3
 北陸線の駅が市内に1つしかないので、駅の数を増やし、利便性と集客力をアップさせる。
(問題点)市街地の高架線部分への駅建設となると、建設費用が高額になる。駅の数だけ運営コストが増える。また魚津市は居住エリアが広いので、結局は駅に近い人しか便利にならない。
  例4
 地鉄線が北陸線と競合している魚津〜滑川を廃止し、その区間は北陸線を使いやすい形にする。
(問題点) 該当区間の地鉄利用者に不便にならないような対策が必要。さらに民間企業である地鉄の経営方針しだいでは難しい。地鉄の路線が分断されるため、現在富山市内で一括して行われている車両整備、運行管理などで地鉄に負担を求めることになる。

 どれもメリットはあるのですが、デメリットもあるのが現状です。しかし(例1)の問題にしてみれば、北陸線の車両は地鉄線に乗り入れはできますから、両社間の取り決め次第では実現は可能です。(例3)についても(例4)と組み合わせて、電鉄魚津駅を利用できる方法を考えれば可能かもしれません。(例4)についても市民にとってより便利で、第三セクター会社と地鉄の両社にメリットがあれば可能かもしれません。

 もう1つ、市民のみなさんがすべて駅の近くに住んでいる訳ではありません。駅まで歩けない方々も使いやすいよう、自宅から駅までは自家用車。駐車場に車を止め、電車に乗る。という「パーク&ライド」という利用方法がどの駅でもできるようにしなければいけません。またコミュニティバス路線を充実させ、駅で列車ダイヤに接続するかたちにすることも必要です。これは駅を利用しないコミュニティバス利用者にとっても利便性アップになりますし、その結果利用者が増えコミュニティバスの採算性アップにつながるかもしれません。



 何にせよ、費用の問題が大きくのしかかります。とにかく利用者を増やすためには、広い視野での総合的な対策を考え出すしかありません

 富山市は交通体系を抜本的に見直し、中心市街地を活性化を進めています。これは全国的にも注目を浴び、既に芽が出始めています。「地方都市で鉄道の時代は終わった」という常識を覆した事例です。ただ富山市と魚津市では都市規模が違います。その違いを考慮することなく「真似」をすれば、失敗することでしょう。富山ライトレールは、車社会の中で、公共交通機関にしかできない強みや役割を明確にしたコンセプトや、街のシンボルになりうるほどの徹底したトータルイメージづくりと柔軟な発想のキャンペーンが利用促進に大きな効果を上げています。これらの点は大いに見習う点はあるのではないでしょうか?

将来、富山市の中心市街地が賑わった時に、魚津市からのアクセスが今のままでは……渋滞の中で、「富山市の人以外は余計不便になったじゃん」とつぶやいてしまうかもしれません。車を運転できない高齢者などの交通弱者は「遊びにすら行けんちゃ!」と言うかもしれません。交通体系を考える上では、魚津市だけの枠組みで考えるのではなく、富山市や滑川市、黒部市といった身近な街との関連性の中で、連携して考えていく必要があるのは間違いないことでしょう。



10年後の魚津市の風景……

 「みんな駅を使うようになって、中心市街地に人が戻ってきた!」
 「昔は駅までの送り迎えをしないといけなかったのよ!」
 「仕事終わりに一杯飲んで帰れる!」
 「おじいちゃんが、総曲輪フェリオへ行ってばかりでおしゃれになっちゃった!」

やり方次第で、こんな話が聞こえる魚津市になるかもしれませんね。



このレポートは「はまる会」ホームページに寄稿しています。


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